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技術革新、サンクコスト

最近、大学の授業用の教科書を書いているのですが、その中から一節を切り取って、紹介します。
題して「技術革新、サンクコスト」



■大工の手刻みからプレカットへ / 技術革新
木造建物の木造部材の接合部には「ぼぞ」と呼ばれる、でっぱり、引っ込みがあり、これはかつては大工が腕にヨリを掛けて加工していました。
しかし近年はその大工に変わって、「プレカット」と呼ばれる機械加工が主流です。
大工はほぼそれをやることが無くなってしまいました。


プレカットの登場により、熟練大工の加工技術:ほぞを作るテクニックは、ほとんど意味、価値のないものとなってしまいました。
このような現象を技術革新といいます。
ある新しい技術(プレカット)の誕生、普及が、それまでの技術(大工の手刻み)を陳腐化、無価値化してしまうのです。
建築士試験の実技が未だ手書きなのは時代錯誤?

別の例として、例えば私が大学のころ、設計図面はドラフター(製図机)に鉛筆でした。
友人間で競って、どれだけ細く美しい線が引けるかを争ったものです。
しかしその技術はCADの登場、普及により無価値となりました。(高価な製図用鉛筆やドラフターも)

■サンクコスト
大工の手刻み、鉛筆による製図などいずれも長年の修練が必要ですが、技術革新でそれらの期間は一瞬にして無意味となってしまいます。そして一定量の失業者を、寒空に吐き出します。
長年の苦労を思い、それら旧技術の保持者(大工)は、新技術に移行することに激しい心理的抵抗を感じ、強烈にためらいます。「オレが苦労した○○年はなんだったんだ」と。
投入エネルギーが膨大なため、心理的にそれを捨て去ることができないのです。
何年も想い続けた恋人(片思い)とはカンタンには別れられないようなものです。

このような現象、心理効果をサンクコストといいます。
それまで投入したエネルギー、コストはもはや沈んでしまったもの(sunkサンク)で、回収できないのでそれ以上続けるべきではない、と言うことからです。

技術革新に遭ってしまった当事者は、それまでのエネルギーを思い、なかなか気持ちを切り替えられません。しかしこれは時代の流れ、従うしかないのです。
そのエネルギーはサンクコストと思って捨て去らねば、さらなる被害(収入を得られないなど)を受けるのです。


皆さんの身にも、もしかしたら将来、このような現象が起きるかもしれません。
その時は、気持ち的には納得出来ないでしょうが、そうするしかないのです。
逆に言えば、そのような可能性のある技術の習得(およびそのための関連商品:製図用鉛筆の商売も)は避けるのも、賢い選択なのかもしれません。

なお、この現象は建設業のみならず、どのような分野にも起こりえます。いくつかのこのような例を挙げておきます。
共通して言えることは、手作業が他のもの(たいてい機械)で取って代わった、ということです。
よって手作業には技術革新の恐れがあると考えることです。
またそもそも「職人」とはそのような技術保持者を指す言葉です。つまり「職人」を目指しているならちょっと待って、よく考えて、ということです。

■技術革新の例
・刀:長年の修練で剣術を習得した侍も、ピストル(火縄銃:飛び道具)の前では無力

・手書きのマンガ職人→イラストレータの出現   「コーヒーこぼしてやり直し」の恐れゼロ!
それにもかかわらず、「ゴルゴ13」は未だ手書き!とのこと。
おそらくベテランスタッフの心理的抵抗がゆえでしょう

・新聞の活字拾い → パソコン入稿でシームレス
  大新聞社A社は大量の活字工を全解雇、B社は別職に再雇用したとのウワサを聞きました

・ケータイメールの早打ち→予測変換(サジェスト)

・シェルの解析には偏微分方程式の修得 → 解析プログラム
一昔、ふた昔前まではシェルの設計は高等数学修得者に限られ、またシェルの形態も限られていました。しかし今やゲーリーがサラサラーとスケッチした形のシェルでさえ、入力してしまえば解析に1秒はかからないでしょう。
我々は困難な偏微分方程式の修得の代わりに、創造的なことに時間を使わねばならないのです

・英語・・? 言語の習得も時間がかかるものですが、将来、apple siriやgoogleなどの翻訳機が高性能となれば、その労力も無となってしまうでしょう(英語教材。英語教室も無価値に?)

・超絶技巧のピアニスト、速弾きのギタリスト、絵描き・・? 
 「芸術」の領域は例外となることが多い。その技術を見せること(ショー)が商売となり得るため
しかし芸術も結果が全て。美しければ手書きもCGもない。
「○○時間かけたんです!」と言われてもコチラには無意味。それは作り手の独りよがり




技術革新に遭って職を換えざるを得なくなった、という事態は、人生にそうあることではありません。
人生で一度、あるか、ないか、でしょう。
しかしサンクコストと言える事態はもう少し日常的に起きます。

■サンクコストの例
・映画館で見ていた映画がつまらなかったが、もうせっかく半分以上見たし、しょうがないから最後まで見た 
  → 途中で映画館を出た方が別のことに時間を使えるが、だいぶ時間が過ぎたのでふんぎりがつかない
   「映画」を「半分以上読んだ本/ネットのニュース、ブログ記事」にも置き換えられます

・超人気のスイーツを食べようと冬の寒空の下、チョー行列。1時間待ってやっと半分進んだ。
ケドどうにも寒い。どうしようか。けどせっかくこれだけ並んだんだから。

  → 行列はサンクコスト頻発箇所です(笑)。あと1時間待ってスイーツがそれに見合う分美味しければいいですが、もしそうでなかったら目も当てられません(><)

・マンガ単行本、ケータイゲームでの「コンプリート」  = シリーズもの
 → せっかくここまで揃えたんだから / あとひとつだから / 皆に自慢できるから

出版社たちの思うツボです。最後のヤツだけ高かったりすると目も当てられません(><)
TVのCMで人気のデア○○ティーニなんてまさにこれ。買い続けてしまいます。創刊号は安くして心理障壁を下げています。
ちなみに女性に対して最初だけ優しい男のことを「デア○○ティーニ男」というそうです(><)

・十年も前から調査、計画をやってお金をつぎ込んできたダム計画。やっと施工、の段階になって市民が「やっぱりダムはいらない」と反対運動。けどこれまでの経緯を思えば、とてもじゃないが今更止められない。
  → せっかく十年もやったのだからと言う気持ち。継続すれば、更にお金を浪費する。サンクコストの代表(そして高額)例です

・もう何年もつきあったカレシが何とアタシとは結婚する気がないと言ってきた!今さら別の人探すのもタイヘンだし、どうしようか。もう少しつきあってカレシを説得するか。

  →ズルズル付き合ってしまいます。同様に、カレシ(彼女)に貢ぎ過ぎると、「あんなに貢いだ/尽くしたのに」と、カンタンには別れられなくなります。貢いだお金がまさにサンクコスト。
「恋人と別れたくなければ貢がせろ!(ホンマでっか、より)



いずれも、「この選択は間違いだ」と気づいた段階で、舵を切ればいいのですが、それまでの時間を思い、「せっかくだから」「いまさら」と、その行為を続け、時間、お金を更に浪費してしまいます。

もし、あなたが「せっかくだから」「いまさら」と口にしたなら、それはサンクコスト現象かもしれません。
思い切って方向転換した方が。。。それ以上傷は深くならないでしょう。



(引用ここまで)
私は、ある構造計算ソフトを持っていたのですが(50万で買った)、それを何年も持っている割に一度も!使ったことがなかった!なのに管理費として毎月1万取られる!
まあ。いつか使うかもしれないし、これまで払ってきたし。。。。ケドこのままだと毎月1万タダ払い!

今年この「サンクコスト」を学び(ホンマでっか!?にて)、今のこの現象こそサンクコストじゃないか!いつ辞めるの?今でしょ!と、思い切ってやめました。


この「サンクコスト」。。なかなか便利、強力な判断指標です。良く切れる包丁のようなものです。
「いまさらそんなことできないよぉ~(泣)」と、感情まみれになっているところに、「それ、サンクコストでしょ?」と、理屈、理性でズバッと一刀両断してくれます。
皆さんの周りにもサンクコストが無いか考えてみて下さい

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プロフィール

山田誠一郎

Author:山田誠一郎
㈱dos 代表取締役 

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