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「構造設計心得」

購読している雑誌に興味深い「構造設計心得」とでも言うべきものが載っていました。

国際構造協会(略称IABSE)が発刊するStructural Engineering Internationalという雑誌を購読しているのですが、その中に既に死去した構造設計家について短く紹介するコーナーがあります。

この中でクロアチアの土木技師 Kruno Tonkovic(クルーノ・トンコビック)氏が紹介されていました。
(上写真は同氏によるクロアチアのKrk Bridge)


その記事の末尾に、氏が未来の技師たちへ向けた設計ガイドライン:「構造設計心構え」的なものがありました。




1. The first and main value of each structure is shown in its functionality

2.The main aim of a structural engineeer is to avoid problems and only if this is not possible, to solve them.

3. The greatness of structural engineer is shown in his ability to find new and different ways of expression.

4.The civil engineering history provides an endless pool of ideas and inspiration for contemporary structures.

5.Durability and beauty are values worth investing in.

6. Written records are important and this applies also to the civil engineering history.


1.構造物の、最初の、そして主要な価値はそれの機能性に表れている。

2.構造技師の最初の目標は問題を避けることであり、もしそれが不可能な場合のみ、それを解決すればよい

(注:ここでの「問題」とは、「トラブル、不具合」という意味ではなく、大きな応力が生じる、などの意味と思います)

3.ある構造技師の偉大さは、新しく、これまでと異なる(構造物の)表現方法を見つける能力で示される。

4.土木(構造)技術の歴史は、現代の構造物において、終わりないアイデアと、発想の源となる。   
・・・・・・・歴史に学べってことでしょうか。

5.耐久性と美は、投資する価値のあるものだ

6.記録することは重要で、また、土木技術の歴史にも貢献する
・・・・アイデアを共有しよう、ということでしょうか


2番、3番などは非常に共感しました。

「構造技術」について書かれていますが、何もそれに限らず、他分野でも適合しそうです。



末尾に余談ですが、海外では「構造技師」といえば橋も建築も設計します。
それらが分離されてるのは特殊で、日本くらいのものです(確か韓国もそうだったかと。)
どちらも同じ構造技術なんですけどね。

ずいぶん昔ですが、ある有名なドイツの構造設計家とお話する機会がありました。
その時、「日本じゃ建築構造家は橋はやらないのかい。それは可哀想だね」と言われました。

そのとおりかも、です。

建築では意匠設計家が「プロジェクトマネージャー」ですが、橋梁では構造設計家がプロジェクトマネージャーとなり、時には逆に建築家を雇って仕事をまとめていかねばなりません。
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テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

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