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建築の価値

先日東京造形大に行った時のお話。
先日、東京造形大で、上田氏の授業におじゃました時、現代建築の写真を生徒さんにスライドショーで見せながら上田氏がコメントを入れていくということをやりました。(一つ前の記事を参照)

私も「構造担当コメンテーター」としていくばくかコメントを入れたのですが、その中の一つを紹介します。




写真は、ご存知、北京オリンピックの会場となった「鳥の巣」。
設計はHERZOG & MEURON。 構造はARUPです。
上田氏のスライドショーに登場しました。
この建物、構造的にはムダが多く、余り合理的な建物ではありません。
これについて、私は学生さんに聴かせるにはうってつけのエピソードを思いだしました。




日本のある、高名な構造設計家のA氏、この建物がダイッキライ。
理由は、上記の通り、構造的に不合理だからです。

そのA氏、事あるごとに、この建物がいかに不合理かを雑誌などに投稿したりして批判していました。

さて今から2年ほど前のある日、都内某所で、ドイツのこれまた有名な構造設計家:B氏が来日し、自身の作品について紹介する講演会が行われました。

講演が終わり、質疑応答の時間となった時、この講演会にお客として聞きに来ていたA氏がB氏に質問しました。

「キミの建物に関することじゃないんだけど。。。
キミは『鳥の巣』をどう思う?」

キミだってあんな不合理な構造、キライだろう?ってな答えを期待しているようでした。


その質問にB氏は少し間を置いて、こう答えました。

「確かに私もあの建物は合理的じゃないと思います。しかしこう考えたらどうでしょう。

パリのエッフェル塔をご存じですよね。エッフェル塔が出来た時は、あんな醜いものはない、壊してしまえ、と市民に毛嫌いされていました。しかし今やすっかりパリのシンボル。エッフェル塔のないパリなんて考えられません。


『鳥の巣』だって今や世界でイチバン有名なスタジアム。既に市民にも親しまれています。エッフェル塔と同じで北京の街に馴染んでいくんじゃないですか?」

それを聞いた客席からは自然と大きな拍手が起きました。
期待を裏切る答えにA氏は言葉を失ったようでした。





鳥の巣は構造的観点から見れば、あまりいい建物ではないかもしれません。しかし、だからと言ってそれがすぐさま、トータル的な、建築の価値を下げるかというと、そうではないでしょう。



私が思うに、建築は、ちょうど「人間」と同じように、その魅力、価値は多面的であり、色々な切り口、観点があるものだと思います。


人間で言えばその価値は、色んなコトを知っている、ルックスがいい、思いやりがある、などなど。。
ひとつ欠点があったとしても、それを上回る別の価値:長所を持っているかも知れません。

「ヤツは男前じゃないが、なかなか頼りになるヤツだ」ってな風に。。


近視眼にならずに大きな視点からモノを見たいものです。






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コメント

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A・S・E・M…建築の価値は総合的に

こんにちわ。

『構造的観点から見れば、あまりいい建物ではないかもしれません。しかし、だからと言ってそれがすぐさま、トータル的な、建築の価値を下げるかというと、そうではないでしょう。』

いい言葉ですね。
建物とは完成形だけみると分からないですが、そこに至るまでの様々な経緯・取捨選択があって成立しているのであれば、構造的合理性だけではないのかもしれませんね。

また、一つ勉強になりました。
ありがとうございます。

Re: A・S・E・M…建築の価値は総合的に

たぁ~ぼ~ さま、ありがとうございました。

ちょっと偉そうなこと言ってしまった感が。。。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
プロフィール

山田誠一郎

Author:山田誠一郎
㈱dos 代表取締役 

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