スルドイ質問のかわし方
以前行った講演会で、質疑応答の時にするどい(イジワルな)質問をされた時の、スバラシイかわし方があったのでをご紹介します。


前回の投稿記事で紹介した、ドイツの構造家(B氏)が来日して講演会を行った時の話。
その講演会で、講演終了後、質疑応答となったのですが、ある質問者のするどい質問に対して、見事な切り返し方をしていて感心した場面がありました。
質疑応答の時間、数人の方が質疑をしたのですが、その中で、ある大学の教授:C氏が質問をしました。
「発表に出ていた、GRCについてですが。。」
ここでいうGRCとは、グラスファイバーを、RCの鉄筋の代わりに用いた、グラスファイバー補強コンクリートのこと。
但し、グラスファイバーの細~い繊維で補強するのではなく、鉄筋棒のような、比較的太い棒状のもので、引張力を負担させて、RC=鉄筋コンクリートの代わりにしようというものです。
RCは鉄筋が錆びる可能性がある、というデメリットがありますが、これならその心配は無用、とのことでした。
目下、B氏が研究中だとのこと。講演のスライドに登場しました。
さて、そのGRCについて。。。C氏が質問しました。
「GRCの場合、そのグラスファイバーとコンクリートの熱膨張率はどうなっていますか?」
この質問の意味するところは。。。
鉄筋コンクリートの場合、構成要素であるコンクリートと鉄筋(鉄)の、熱膨張率がほぼ等しいという利点があります。
熱膨張率とは、材料が熱を受けたときに伸び縮みする割合のことです。
もし長さ1mの、ある材料が、温度が10度から11度に上がった時、1.1mになったとすると、その材料の熱膨張率は0.1/度、というワケです。(1.1m-1.0m=0.1m。0.1m/1m=0.1。11度-10度=1度に付き。)
2つの材料の熱膨張率が違っている場合、熱を受けたときに、片方の材料は伸びるのにもう片方は伸びない、ということが起こり、非常に具合が悪い状態が起こります。
わかりやすく言うと両者が剥がれるような現象が起きます。
たとえばRCの、本来くっついている鉄筋とコンクリートが剥がれしまう、ということです。
RCではうまいことに、両者がほぼ同じ膨張率のため、そのような具合の悪いことは起こらず、ほぼ同じ長さだけ伸び、非常に都合がいいわけです。
これはRCの、大きな長所の一つです。
さて話は戻って。。。
C氏はこのGRCで、そのような都合の悪いことは起きないのですか?と質問したのです。
気づかなかったけど、言われてみればそりゃそうだ。これはなかなか鋭い、そしてちょっとイジワルな(^^;)質問だぞ。。
さて世界に名だたるB氏。何と答える。。。。?
しかしB氏の答えは意外で、しかも見事なものでした。
その答えとは。。。
「それは良い質問だ。ドイツに帰ったら早速検討するよ。」
私は予想外のその答えにビックリし、また感心しました。
世界に名だたるB氏にそれは良い質問だと言われれば、質問してきたC氏は鼻高々。顔が立ちます。
実際、C氏はそんな表情で、それ以上何の追求もしませんでした。
しかも上記の応答は、C氏の質問に全く答えておらず(^^;)つまりうまくかわして、切り返しているのです。
B氏の本心は分かりません。
「いや~それは気づかんかった(汗)。ゼンゼン考えてなかったよ。さ~何て答えようか?知らんかったとは言えないし(汗)。。」 かもしれません。(あくまでも私の想像、推理です)
しかしそれは顔に出さず、①C氏の質問で窮地に立たされた状況をうまく切り抜け、それに答えず、②しかもC氏の顔を立てているのです!
同時に2つも、スバラシイ状況処理をしています。とっさにできることじゃありません。こりゃ~すごい。
高校野球で、9回ウラ、3塁に走者、彼がホームを踏めば同点になって延長戦、封じ込めれば勝利、みたいな緊迫の状況で、ピッチャーが渾身で投球したら打者が突然スクイズ!
そのボールをピッチャーマウンドからダイビングしてノーバンでキャッチして、走ってきた3塁ランナーにもタッチしてダブルプレイで窮地脱出!試合終了!やった!勝った!勝ったぞみんな!みたいなカンジでしょうか(例えが違いますか)
構造の講演会に来たこともすっかり忘れ、そのコミュニケート技術に感動しました。
いや~スバラシイ。びっくりしました。
この講演会で学んだイチバン大きなことだったかも。
この話には後日談とでもいうべきものがあります。
その講演会からずいぶん立ったある日、会話術かなんかの本を読んでいたら。。。。
「プレゼンテーションなんかで都合の悪い質問をされたら『それはいい質問です!』と答えなさい」とのこと!
ビックリ!
その理由はまさに上記の通りとのこと。割と有名なテクニックなのでしょうか。2度ビックリ!
ドイツのB氏がこのテクニックを知っていてやったのか、それとも完全なアドリブだったのかは分かりませんが。
それと、もう一つ。
いつだったか、TVを見ていた時、今をときめく池上彰氏の声が。。
「それはいい質問ですねえ!」
ビックリ!(^^) 今や池上氏の決めゼリフですか?(^^;)
そう言われた芸能人パネラーはたいてい、まんざらでもない顔をしています。
池上氏はTVの台本通りにそのセリフをいっているのか。。はたまたやっぱり切り返しで言っているのか。。。。
どっちなんでしょう。。
僕も今度、確認申請の質疑応答で、突拍子も無い質問をされたら言ってみようかな。
「それはいい指摘ですねえ。」(ウソ)
その講演会で、講演終了後、質疑応答となったのですが、ある質問者のするどい質問に対して、見事な切り返し方をしていて感心した場面がありました。
質疑応答の時間、数人の方が質疑をしたのですが、その中で、ある大学の教授:C氏が質問をしました。
「発表に出ていた、GRCについてですが。。」
ここでいうGRCとは、グラスファイバーを、RCの鉄筋の代わりに用いた、グラスファイバー補強コンクリートのこと。
但し、グラスファイバーの細~い繊維で補強するのではなく、鉄筋棒のような、比較的太い棒状のもので、引張力を負担させて、RC=鉄筋コンクリートの代わりにしようというものです。
RCは鉄筋が錆びる可能性がある、というデメリットがありますが、これならその心配は無用、とのことでした。
目下、B氏が研究中だとのこと。講演のスライドに登場しました。
さて、そのGRCについて。。。C氏が質問しました。
「GRCの場合、そのグラスファイバーとコンクリートの熱膨張率はどうなっていますか?」
この質問の意味するところは。。。
鉄筋コンクリートの場合、構成要素であるコンクリートと鉄筋(鉄)の、熱膨張率がほぼ等しいという利点があります。
熱膨張率とは、材料が熱を受けたときに伸び縮みする割合のことです。
もし長さ1mの、ある材料が、温度が10度から11度に上がった時、1.1mになったとすると、その材料の熱膨張率は0.1/度、というワケです。(1.1m-1.0m=0.1m。0.1m/1m=0.1。11度-10度=1度に付き。)
2つの材料の熱膨張率が違っている場合、熱を受けたときに、片方の材料は伸びるのにもう片方は伸びない、ということが起こり、非常に具合が悪い状態が起こります。
わかりやすく言うと両者が剥がれるような現象が起きます。
たとえばRCの、本来くっついている鉄筋とコンクリートが剥がれしまう、ということです。
RCではうまいことに、両者がほぼ同じ膨張率のため、そのような具合の悪いことは起こらず、ほぼ同じ長さだけ伸び、非常に都合がいいわけです。
これはRCの、大きな長所の一つです。
さて話は戻って。。。
C氏はこのGRCで、そのような都合の悪いことは起きないのですか?と質問したのです。
気づかなかったけど、言われてみればそりゃそうだ。これはなかなか鋭い、そしてちょっとイジワルな(^^;)質問だぞ。。
さて世界に名だたるB氏。何と答える。。。。?
しかしB氏の答えは意外で、しかも見事なものでした。
その答えとは。。。
「それは良い質問だ。ドイツに帰ったら早速検討するよ。」
私は予想外のその答えにビックリし、また感心しました。
世界に名だたるB氏にそれは良い質問だと言われれば、質問してきたC氏は鼻高々。顔が立ちます。
実際、C氏はそんな表情で、それ以上何の追求もしませんでした。
しかも上記の応答は、C氏の質問に全く答えておらず(^^;)つまりうまくかわして、切り返しているのです。
B氏の本心は分かりません。
「いや~それは気づかんかった(汗)。ゼンゼン考えてなかったよ。さ~何て答えようか?知らんかったとは言えないし(汗)。。」 かもしれません。(あくまでも私の想像、推理です)
しかしそれは顔に出さず、①C氏の質問で窮地に立たされた状況をうまく切り抜け、それに答えず、②しかもC氏の顔を立てているのです!
同時に2つも、スバラシイ状況処理をしています。とっさにできることじゃありません。こりゃ~すごい。
高校野球で、9回ウラ、3塁に走者、彼がホームを踏めば同点になって延長戦、封じ込めれば勝利、みたいな緊迫の状況で、ピッチャーが渾身で投球したら打者が突然スクイズ!
そのボールをピッチャーマウンドからダイビングしてノーバンでキャッチして、走ってきた3塁ランナーにもタッチしてダブルプレイで窮地脱出!試合終了!やった!勝った!勝ったぞみんな!みたいなカンジでしょうか(例えが違いますか)
構造の講演会に来たこともすっかり忘れ、そのコミュニケート技術に感動しました。
いや~スバラシイ。びっくりしました。
この講演会で学んだイチバン大きなことだったかも。
この話には後日談とでもいうべきものがあります。
その講演会からずいぶん立ったある日、会話術かなんかの本を読んでいたら。。。。
「プレゼンテーションなんかで都合の悪い質問をされたら『それはいい質問です!』と答えなさい」とのこと!
ビックリ!
その理由はまさに上記の通りとのこと。割と有名なテクニックなのでしょうか。2度ビックリ!
ドイツのB氏がこのテクニックを知っていてやったのか、それとも完全なアドリブだったのかは分かりませんが。
それと、もう一つ。
いつだったか、TVを見ていた時、今をときめく池上彰氏の声が。。
「それはいい質問ですねえ!」
ビックリ!(^^) 今や池上氏の決めゼリフですか?(^^;)
そう言われた芸能人パネラーはたいてい、まんざらでもない顔をしています。
池上氏はTVの台本通りにそのセリフをいっているのか。。はたまたやっぱり切り返しで言っているのか。。。。
どっちなんでしょう。。
僕も今度、確認申請の質疑応答で、突拍子も無い質問をされたら言ってみようかな。
「それはいい指摘ですねえ。」(ウソ)
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