地震に強い木造住宅のポイント(3)
地震に強い木造設計のポイント、3回目、
前回の続き、ホールダウン金物を少なくするには? の2回目です
前回の続き、ホールダウン金物を少なくするには? の2回目です
2. NE:柱の地震時軸力を小さくするには?
これには次のような方法があります。
2-1耐力壁を千鳥状に配する
建物のフレームを立面で見た時、右の図のように、耐力壁はタテに並べたほうがいいと思っていらっしゃる方もいるかと思います。どうでしょうか。
実際は、下図、右側のように上下階で互いにズラして、市松状、千鳥状に配置した方が効率的です。
これは図で示すように、一箇所だけで抵抗させるより、耐力壁が建物全体に散らばっていた方が、建物全体で抵抗するように働くからです。

下の写真は早稲田大学の校舎です。
菱形の筋交いを千鳥配置にすることで横力に対して建物全体で抵抗するようにしています。

(10+1 websiteより)
またこのようにすることで柱の引き抜き力も小さくすることができます。
これは、もし耐力壁がタテに並んで配置している場合、NEが加算されてきて、1階では大きくなってしまいますが、千鳥状だと互いに上下で打ち消し合ってキャンセルされることとなり、小さくなるからです。

上図でMは地震により、建物を倒そうとする力:転倒モーメントです。
今、仮に、2NE=20、1NE=30だとします。
耐力壁がタテに並ぶ左図の場合、最下部では20+30=50です。
しかし、チドリの右の場合、30-20=10となります。
50と10。大きく違うことが分かります。
また、この考えを発展させると、ある特定の通りのみに耐力壁を設けるよりも、あちこちの通りに耐力壁をばらまく方が分散的となり、効果的です。
つまり、A通りにばかり耐力壁を設けるより、B通り、C通りなどにばらまく方がいい、ということです。
2-2.倍率の低い壁を何枚も使う
もう一つは、壁倍率の小さい耐力壁を、何枚も使うことです。
壁倍率が大きい耐力壁を使うと、トウゼンその壁が負担する力も大きくなり、NEも大きくなるからです。

上図のように、仮に倍率4倍の壁を1mの場合と、倍率2倍の壁を2mの場合では、負担する力(地震力)は同じですが、引き抜き力NEは半分になります。
NEは壁長をLとするとM/Lで求まります。Lが2倍になればNEは1/2になるからです。
今回の記事の
「2-1:耐力壁を千鳥状に配置する」
「2-2:倍率の低い壁を何枚も使う」
に共通して言えることは、壁倍率の高い耐力壁を集約的、集中的に使って抵抗するのではなく、建物全体に耐力壁を分散させ、建物全体で抵抗させるようにすることです。
つまり一人に任せるのではなく、みんなで協力して少しづつやる、ということです。
そのほうが一人だけにストレス(=応力)がかかることもなく、みんなで仲良く裁いて、打ち上げのビールもうまい(?)、というワケです。
一人で抱え込んじゃダメよ!ということです。
話がズレてしまいました。
このようにすれば、結果的に上手にホールダウンも減り、しかも耐震性のある建物とすることができます。
意匠設計の方の中にはご自分でN値法で金物を計算していらっしゃる方もいるかもしれません。
N値法には本ページで述べた効果:ファクターが盛り込まれており、ここで述べたような耐力壁の配置をすれば、自ずと金物の量も減る結果となります。
このシリーズは一度これで終わります。少しでもお役に立てれば幸いです。
これには次のような方法があります。
2-1耐力壁を千鳥状に配する

実際は、下図、右側のように上下階で互いにズラして、市松状、千鳥状に配置した方が効率的です。
これは図で示すように、一箇所だけで抵抗させるより、耐力壁が建物全体に散らばっていた方が、建物全体で抵抗するように働くからです。

下の写真は早稲田大学の校舎です。
菱形の筋交いを千鳥配置にすることで横力に対して建物全体で抵抗するようにしています。

(10+1 websiteより)
またこのようにすることで柱の引き抜き力も小さくすることができます。
これは、もし耐力壁がタテに並んで配置している場合、NEが加算されてきて、1階では大きくなってしまいますが、千鳥状だと互いに上下で打ち消し合ってキャンセルされることとなり、小さくなるからです。

上図でMは地震により、建物を倒そうとする力:転倒モーメントです。
今、仮に、2NE=20、1NE=30だとします。
耐力壁がタテに並ぶ左図の場合、最下部では20+30=50です。
しかし、チドリの右の場合、30-20=10となります。
50と10。大きく違うことが分かります。
また、この考えを発展させると、ある特定の通りのみに耐力壁を設けるよりも、あちこちの通りに耐力壁をばらまく方が分散的となり、効果的です。
つまり、A通りにばかり耐力壁を設けるより、B通り、C通りなどにばらまく方がいい、ということです。
2-2.倍率の低い壁を何枚も使う
もう一つは、壁倍率の小さい耐力壁を、何枚も使うことです。
壁倍率が大きい耐力壁を使うと、トウゼンその壁が負担する力も大きくなり、NEも大きくなるからです。

上図のように、仮に倍率4倍の壁を1mの場合と、倍率2倍の壁を2mの場合では、負担する力(地震力)は同じですが、引き抜き力NEは半分になります。
NEは壁長をLとするとM/Lで求まります。Lが2倍になればNEは1/2になるからです。
今回の記事の
「2-1:耐力壁を千鳥状に配置する」
「2-2:倍率の低い壁を何枚も使う」
に共通して言えることは、壁倍率の高い耐力壁を集約的、集中的に使って抵抗するのではなく、建物全体に耐力壁を分散させ、建物全体で抵抗させるようにすることです。
つまり一人に任せるのではなく、みんなで協力して少しづつやる、ということです。
そのほうが一人だけにストレス(=応力)がかかることもなく、みんなで仲良く裁いて、打ち上げのビールもうまい(?)、というワケです。
一人で抱え込んじゃダメよ!ということです。
話がズレてしまいました。
このようにすれば、結果的に上手にホールダウンも減り、しかも耐震性のある建物とすることができます。
意匠設計の方の中にはご自分でN値法で金物を計算していらっしゃる方もいるかもしれません。
N値法には本ページで述べた効果:ファクターが盛り込まれており、ここで述べたような耐力壁の配置をすれば、自ずと金物の量も減る結果となります。
このシリーズは一度これで終わります。少しでもお役に立てれば幸いです。
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