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P-δ効果

久しぶりの投稿となります

P-δについて投稿します

TMORROWSBUILDING.jpg





このところ、制振や振動解析、限界耐力計算を勉強しています

その過程で「P-δ」に行き着き、ググッたのですが適当なサイトにたどり着かなかったので僭越ながら誰かの助けになればと自分で書くことにします(笑)

まず建築におけるP-δ(P-⊿)効果とは。。?
建物が地震力などで水平に変形したときに、その水平変形が原因で建物重量分、付加的な建物転倒モーメントが生じ、これにより微小付加せん断力が生じるものです

P11.jpg


W:各階重量 δ:各階層間変形 MT:転倒モーメント

上記のような状態を想定します。右が変形の状態。左の三角はモーメント図です
この状態で、最下層の、P-δ効果によるせん断力Q1を求めてみます

2F,3Fの床面が下層より微小変位δ1,2ずれているためにモーメントが引き起こされます
M=δWです
これより、まず最下層位置、1FLでの転倒モーメント MT1は

MT1=(1層)W1×δ1 + (2層) W2×(δ1+δ2) 分解、整理すると
MT1=δ1×(W1+W2)+δ2×W2  となります

また2FLでのMT2は同様に
MT2=δ2×W2 です

MT のモーメント図からせん断力Q1を求めてみます
1Fと2FのMT、両者の差を⊿MTとして上式の差より⊿MT= MT1-MT2=δ1×(W1+W2)。

せん断力は上記を階高H1で割るのでQ1=⊿MT/H1=δ1/H1×(W1+W2)。

δ1/H1を層間変形角α1、W1+W2をΣWと定義するとQ1=ΣW×α1となります
つまり自分より上の総重量/該当階の層間変形角 となります

Pδ12

上図のように、上がなんだろうと、検討階の傾きδ/Hと、それより上の重量ΣWだけで求まる、ということです。
そのQは右側図で、Qとは柱直交力ですから正確にはB図かもしれません
δ/Hをθとするとθが小さい場合θ=sinθ≒tanθですのでA図B図でもあまり変わりません

なんか遠回りして簡単な結果にたどり着きました
青い鳥を探しに行ったけど部屋におった!みたいなものです
上で起きていることは知らん、とにかく自階の傾きと、自階までの重量で決まるということです
柱がナナメゆえの力なのですからそうなのかもしれません




保有水平耐力計算では保有水平耐力とする層間変形角は1/100とするのが一般的ですが
これを1/75,1/50とするときはこのP-δ効果によるせん断力を求め、元の保有水平耐力より差し引く必要があると思われます

私の過去の小マンションで上記を検討しました。なお保有水平耐力は1/100です
すると上記P-δ効果によるせん断力と、保有水平耐力のせん断力の比は3-4%程度でした

よって保有水平耐力の検定比は上記以上は必要、となります。
(つまり1.03~1.04以上)
一般的である1/100でもそのくらいは生じている、となります

末尾の本によると、上記比が10%を超える場合はP-δ効果を考慮して解析する必要があるそうです。
具体的には幾何学非線形を考慮できるプログラムで解析することでしょう
あるいは変形した状態の解析フレームを作ってそれに建物重量を作用させて解析し、元の微小変形無視のものと比較する方法も考えられます




最後にプレゼントとして上記のP-δによるせん断力を計算するEXCELへのリンクを貼っておきます

P-DELTA.jpg

常套句ですが本ファイルを用いての損害などに対しては免責となります



末尾の本にも誘導式が書いてあったのですが少しわかりにくいものでした
本ページの方がわかりやすいと自負します。計算結果は末尾本と同値でした。

はみだし情報
■今日は懐メロ、佐野元春VISITORS をITUNE で買いました。発売は30年前。



参考:2001年度版 限界耐力計算法の計算例とその解説 P73
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山田誠一郎

Author:山田誠一郎
㈱dos 代表取締役 

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